よく孤独死という言葉を耳にします。
世間では、それが悪いことだと思っている風潮が見受けられます。
それは孤独というものに対する考え方が多少甘いからです。
人間は社会的な生き物であり、生命は全体で一つです。
それゆえに個人はより大きなつながりを求める習性があります。
これは生物的というより霊そのもの、魂そのものの習性であり、
その習性があるから物的なこの世界でもそうした様相になる、ということです。
しかし、不思議なことに魂は孤独の中で成長します。
全体で一つでありながら、個々人という存在はバラバラであって、
各々が単独で成長していくシステムになっているのです。
逆にいえば、私たちが地上に生まれるのは逆の過程を知るためです。
全体で一つという存在の中から、あえて真逆の方向性である単独の世界、
個々人の魂が個別に内包された世界に来ることで初めて自我が生まれます。
そして、個別に生まれた自我が成長していき、
少しずつ全体との交わり方を学ぶことで全体として連動するようになるのです。
これは実によくできたシステムだと思っています。
さて本題です。
人間は孤独の中で成長していきます。
いかなる魂も独りで試練に立ち向かうことで逞しくなっていくのです。
これを踏まえて現在の社会を考えてみますと、
順調に進化が進んでいることがわかります。
大衆迎合から徐々に個人の世界を重視するようになってきていますし、
文明の進歩によって今やネットで簡単に社会的なやり取りができます。
もちろん、この中にはマイナスの要素があります。
急激な進歩によって人間性が失われることを危惧する論調もあります。
それは一側面だけ見れば当然の見解です。
しかし、魂の進歩という意味で見るならば、これは良い流れなのです。
孤独というのは、自己を高める行為にほかなりません。
孤独死を危惧する人に足りない知識があるとすれば、
魂とは個々人による内省(ないせい)の世界によって進歩する、ということです。
たとえば瞑想や祈りによる心の静寂。
それによる精神の落ち着き、自己ヒーリングによる健康維持、
霊との交わり(指導)が得られます。
結果的にストレスは減り、他者に優しくなり、社会は上手く回るようになるのです。
私たちは何かあれば、考え、悩み、解決策を見いだします。
それによって経験と知恵を得て、次はより良い行動に出ることができます。
実に当たり前ですが、内省型の世界というのは、そうした行動をより多く取ることです。
毎日自己分析、自己反省をして、進化するチャンスが多くなることを意味します。
また、オムツをトイレで流せるようにするなどの話題がちょっと上がっていましたが、
人間という生き物は高い環境適応能力を持っています。
これは非常に強い力で、三日もいれば過酷な環境に適応しようとしますし、
三ヶ月すれば身体の仕組みが変わり始め、三年もすればすっかり馴染んでしまいます。
これと同じように、弱い環境に身を置くと、そこに適応してしまって
人間はどんどん弱くなっていくのです。
それこそ過剰な消毒による免疫の低下、皮膚の弱さ、足腰の弱さ、
こうしたものは弱い環境に身を置くからそうなっていくのです。
多くのマイナス面は、人間の精神的な側面によって引き起こされます。
歳を取って足が弱まるのは、若い頃に酷使したか、老後鍛錬を怠るからです。
壊れないように管理して使っていれば、事故でもない限りは
人間の身体はある程度正常を維持します。(当然、老衰はあります)
それを邪魔するのが「恐怖」や「不安」「無知(無秩序)」です。
老後が心配だからと働きすぎたり、精神を過剰に追い詰めたり、
無理をすれば壊れるのは当然のことです。
オムツの問題にしても、邪魔だからと施設に入れられて
無理やりはかされることで身体的、精神的に弱ってそうなってしまう場合があります。
これはもう、病気といっても差し支えないほど物の考え方が病んでいるのです。
孤独であること、単独で生活することは悪いことではありません。
問題は、自分が孤独であるという認識のほうです。
成熟した魂にとって孤独はとても静かで心落ち着く空間です。
仏教徒が多くいるアジアの地域では、徳を積むことを最重視していますが、
そこでは子供でさえ「独りのときが一番落ち着いて好きだ」と言っています。
これは幼い頃から瞑想や座禅などを日常的にやっているので、
精神の落ち着きが一番心地よいことを知っているのです。
これをもっとも証明するのが睡眠です。
慌しい社会では寝ることがもったいないように思えますが、
実際の睡眠は霊的にとても大切な行為です。
私たちが睡眠中、霊体(魂)は霊的に活動を始めています。
そこで一旦霊的な環境に戻って英気を養っています。
睡眠は大事でありながらも、精神が磨り減る社会では重要視されません。
されど、十分な睡眠を取ったあとの満足感、充足感を否定する人はいないでしょう。
静寂の中で個人が自分を見つめ直す行為が日常的にある社会。それによって個人が霊的、精神的(あるいは肉体的)に強く逞しくなり、それが社会に還元される社会が今訪れようとしています。
ですので、そもそも孤独というものは良いものなのです。
何事もまず自分がしっかりしなければ周りを良くできないのです。
より精神的に成熟する社会が今生まれようとしている、ということです。
ただし、そのやり方はそれぞれです。
日本の場合、今までの反動が強すぎてこういう形態をとっていますが、
他国や他の地域ではまったく見た目が違いながら、
同じ効果を発揮する形態が生まれています。
大切なことは中身を見ることです。
その意味を探ってみることです。
中身を吟味すれば、すべてが進化していることがわかります。
その中でマイナス面も時間が経つにつれて改善していきます。
各々が役割をもって改善にあたっているからです。